彩度を抑えた魅力的な世界「クラッシッククローム」
今日は久しぶりの雨でした。
五月晴れの日は「動かなきゃ!」と思うってしまうけれど、
雨の日は「またにしよう…」と思ってもいいような、
なんだかちょっとホッとする気がします。
雨が地に落ちてゆくように、
地に足をつけて過ごせるような気がするのは、私だけでしょうか?
5月は空の青も、樹々の緑も、満開の花も、
生き生きとして、色も鮮やか。
きれいな写真を撮ろうと思う時は
より鮮やかな色になるように意識して、
実はカメラの設定をいじっています。
でも、私が本当に好きなのは、
彩度を落とした「クラッシッククローム」の世界。
雨振りの日の、少しグレーがかった世界。
モノクロとは違い、艶やかだけど、色は抑えめ。
無理に元気にしなくてもいいような、落ち着いた世界です。
革の製作時間は、
そんなクラシッククロームの世界と感じが似ています。
心を落ち着けて、ゆっくりと一人で集中する時間。
こちらは、革のコバ(革の端)やウラ側をきれいにするCMCという仕上げ剤。
ジャムの瓶に入れた磨き剤を、
窓の光に透かして見ていると、
浅い海の中を潜っている時間を思い出します。
熱帯のカラフルな海ではなく、瀬戸内海のグレーがかった浅瀬(笑)
これを使って革のウラを処理すると、
こんなホサホサの状態が、
こんなにスッキリなめらかになるのです。
裏地をつけず、一枚革のままでBAGを作るときには、
時間をかけて丁寧に、
革の裏側をなめらかにする作業を続けているんですよ。
昔は、晴れたらなんだか嬉しくて、
雨が降ると残念な気持ちになっていたのになぁ…
梅雨になったら、
外出するよりも、
ゆっくりと心を落ち着けて手紙を書きたくなるような。
そんな時間を楽しみにできるようになったのは、年齢のせいかな?
私の好きなクラシッククロームの世界でした。